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恩師、来たる。| 工場見学受入レポート

石田です。こんにちは。秋めいてきましたね。

最近公開した、下記の記事末尾から採用応募につながる事例がありまして、採用面談で新しい出会いが増えております。どうもありがとうございます!!

そういえば、どなたかにこう教わりました。

企業とは人である。良い採用が企業を強くする。だから経営者は誰よりも採用活動に力をいれるべきである。

(教えてくれた先輩、名乗り出ていただけませんか)

誰からか聞いたいい言葉を、そっくり真似て実践するため、カジュアル面談でも代表の私が出るなど、なにかにつけて候補者の方とコミュニケーションを取ることがあります。

カジュアル面談で社長が出てきたら全然カジュアルにならないんで、もうやめてください。

こういう意見もあります。
カジュアル面談と最終面談を担当します石田です!

どのような面談であっても、必ずついてまわるのが志望動機。候補者に、この志望動機を教えていただくたびに、自分の就職活動時に何を言っていたかを思い出します。

志望動機:文化的・歴史的・宗教的背景


に、関係なく活躍できるようになりたいー。

青臭さ極まれりですが、このような志望動機を真顔で話していました。
逆の立場であると、だいぶめんどくさそうな奴である印象を持ちます。しかしながらこのワードは、15年経った今日でも私の発言や文書のいたるところに散りばめられています。

そして話すたびに思い出します。このキーワードのソースである。住田先生のお顔(と、怒号)を。

住田先生の声により筑波大学第三エリアF棟全体が揺れることがしばしば(感覚値)
写真はFourSquareより

名言集

4つほど、私石田が特に記憶に残っている、住田先生が学生にあてたメッセージをご紹介します。

「文化的、歴史的、宗教的背景に依らず、世界で生きていかなければならない時代だからね!!いい!?君たち!!」
ー授業中、唐突にキャリア論が始まる瞬間。

「高度成長期、日本の研究開発がなぜ成功していたかわかる?!ー成功するまで会社にも黙ってたからだよ!!夜な夜なチームでやってたんだよ!!量が質に転化するんだよ!!!逆はないんだよ!!」
ー1960年代~1970年代の国際経済論を展開する際に、競争力の源泉たとえとして。とにかく量をこなすこと。

「夢を蒔き、不断に生きよう!!」
ースライドの最後にかかれていた。名言。

「鞄一つでアメリカに渡り、大学院の教授にまで登れるんだよアメリカは!優勝劣敗!!夢があるだろう!!」
ー努力・体力・知力を絞り出すように鼓舞するときの先生。


・・・懐かしいなあ・・・もう一度聞きたいなぁ・・・

本人、降臨 ー


例えば、2023年冒頭の挨拶にも書いたように住田先生のお名前を出して名言を引用することもままあります。

(発信活動を続けた際の気付きに触れて)

遠くのものが近くになって、近くのものが至近距離になった

トーマス・フリードマン氏の書籍「フラット化する世界」だったかと記憶していますが、インターネットの本質は遠くのものを近くに、近くのものを遠くにすることである、ということが語られていました。

尊敬する住田潮大先生も相対性理論とくっつけて、このコメントを大声量で叫んでいた気もします。

「いいかい君たち!!!!インターネットの本質はなあ!!!!!」
・・・と強調されていた記憶があります。


さて、2024年4月12日。このような問い合わせがありました。

初めてご連絡させていただきます。
一般財団法人 海外産業人材育成協会(AOTS)東京研修センターのMと申します。
弊協会は、主にアジア・アフリカなどの開発途上国から人材を受入れ、研修を実施している団体です。
(HP参照:https://www.aots.jp/)

このたび、2024年9月4日(水)~9月17日(火)に、筑波大学名誉教授の住田潮先生がコースディレクターを務める研修コースを実施予定です。
貴社では、勤怠管理や案件管理、技術面のDX事例など業務変革やプロセス改善のために様々なDX施策を実施されている点が非常に興味深く、
また貴社HPより石田社長のブログを拝見させていただいたところ、住田先生を尊敬されているとお名前を上げていらっしゃったため、
ぜひ石田社長にご講演をしていただけないかと思い、ご連絡させていただきました。

「お前が尊敬している住田先生が来るから、何か面白いこと話せ!」(石田意訳)

 ご 本 人 、 イ シ ダ テ ッ ク に 降 臨 ・ ・ ・ !

少し変わった工場見学


今回の工場見学のご依頼、いつもと違う所がありました。

  • 「DXを巡る経営戦略課題とその克服に向けたICT活用研修コース」なので「中小企業のDX活用」についてプレゼンテーションすること

  • 参加者は、アジア・アフリカ地域のビジネスリーダー23人。全員一気に受け入れること

  • プレゼンテーションや説明は英語で行うこと

・・・アジアやアフリカのビジネスリーダーの皆さんが興味ありそうな話題って何だ・・・?

当日までの準備

DXとデータ活用の話題 x 英語 x 住田先生 となったら、ともにプレゼンテーションいただきたいお供は決まっております。善甫先生です。なにせ、善甫先生は住田先生の教え子です。

知覚拡張研究室のウェブサイトより

そしてプレゼンテーション資料を準備します。よく使う基本的な会社紹介の流れを、データ活用と実プロジェクト寄りに編纂します。

今回のAOTSのプログラム参加者の皆さんが、イシダテックの前後に見学する企業を見ると大企業x製造業が大多数であると気づきます。他の企業(先進的なIT活用事例を提示するであろう)からは得られない経験をシェアしようと決めます。

2016年、会社には1つのメールアドレスしかなく、AさんもBさんもCさんも全員宛のメールを受診。
出社後の作業は、全員、自分宛ではないメールを受信ボックスから消すことから始まりますー

ちなみにめちゃくちゃウケた。

このエピソードは大企業にはないはず。

いざ当日

皆さんを受け入れる少し前に行った、「すげぇら焼津」プレイベントのお陰で、20名を超える外部の方々を受け入れる事に対して、なんとなく抵抗が少なくなってきました。もっともっと工場見学力を高めたい・・・。

あ、住田先生だ!!!お変わりない!!!

それ以上に善甫先生はいつも善甫先生である。

再開を懐かしむのもつかの間、大型バスからぞろぞろと今回ご参加の皆さんが集まります。

定刻通りにプレゼンテーション開始。
適宜話者交替スタイル

プレゼンテーションでの気付き

プレゼンテーションでは、お客様向けにIT(おもにAIとソフトウェア)を活用して実現したサービス拡充のケースを3つ、社内向けにITを利用して業務効率化やナレッジマネジメントが促進したケースを細かく多数用意してお話しました。

ここで言う戦略は、公開しているイシダテックのDX戦略にまつわるものです。

プレゼンテーションに割り当てられた時間は60分でしたが、途中に皆さんからの質疑応答と議論を行っていく方法だったので、100分を超えるものになりました。(工場見学後の質疑応答分を吸収して調整しました。AOTSの丸岡さま、ありがとうございます)

活発な質疑を通じて、私も気づきを得たことが3つありました。ここからその気付きに触れます。

1. 「なぜ、AI(IT)活用がビジネスになると最初からわかったのか?」

こちらのスライドで、イシダテックが最初にAIにまつわる宿題をお客様から得て、同日中に筑波大学と取り組もうと決めた意思決定(2018年3月)に触れたときのこと。

201/3/20 15:17-19:00の間にすべてが始まった。

「かなりのスピード感であるように見える。どうして最初からビジネスになる、事業になる、収益を上げられるとわかったのか?どのような動機があったのか?」というストレートな質問でした。

私の回答は「通常イシダテックにありがちなビジネスの始まりだったため、進行にあたり特段ネガティブな要素がなかった。そのため、小さく始めた。最初から事業化できるなどとは考えていない」

これに対して、大学人としての善甫先生の回答から学びました。

大学の研究者としては、発見や発明を世の中に出すことが命題であるため、あまりに事業化に熱量の高すぎる企業に対して(新規性より事業性を応用して、研究の本来的な目的から外れる可能性が高いため)、個人的な見解としては消極的にならざるを得ない。
プレゼンテーションのケースは、事前に構築していた信頼関係に基づいた「研究者からの信用度合い」が高かったため、踏み込めた。

共同研究契約の前から、共同研究は始まっているー!?

何も始まる前からの、当事者間のガラス張りの動機整理が重要だと気が付きました。どこまでいっても人と人との信頼関係だと。

2.「なぜ、実装したすべてのサービスを事業化しないのか?」

今回は、お客様向けのサービスを3つ紹介しました。また、下図の謎図によりITの活用レベルやプロジェクト自体のインパクトを類型化しました。

水平統合要素、垂直統合要素がすべてX軸に書かれる謎図。

このうち、あるお客様のために開発したCase1。「なぜうまく行ったのに、権利化しなかったのか?なぜCase1は横展開しないのか?」という質問がありました。

私の回答は、「お客様側が、研究所レベルで開発したあとだったので、権利化が済んだあとでした。そのため撮像方法などは特許出願されていたのです」

あとから振り返ると、これはきちんとリスクを取って最初にトライした主体が、横展開や業界展開を行うのに適切な環境が整えられる、ということ。ただしう、どの取組も1社ではできないので、目の前のお客様1社だけではない業界の課題という大ビジョンを掲げ、さらにお客様にとっても利益のあるような事業構造を考え抜くことが大切ー

そんなことを、この質問から学んだ気がします。

3.「自社向けの取り組みをもっと洗練させて、他社に売らないのはなぜか?」

自社内のIT導入の際に、業務マップを作成して検討材料の一つにしているよ、ということを話し終わった直後ー

突貫工事で翻訳したため、ブロック内などは日本語のまま。

「あのさ!!ここまでできたんだからさ、各ブロックにもう少し意味を持たせて、ソフトウェア化して外販したらどう?!使う企業多いんじゃない?!」

住田先生よりコメント
なんで活用することを考えないんだ、これで会社作れるぞ。
と問われる石田と以前よりはだいぶ優しめに詰める住田先生

確かに自分たちで作ってみて、そして使ってみて良かったことは広めてみるのもありかもしれない。そう考えると、自作ツール結構あるぞーと気づきました。

お手本な事例は、松田電機工業さんのGenbaVisionですね。
もともと自社のために、自ら業務効率化のためのシステムを開発・構築して、ノウハウとセットで販売するという例。素晴らしいですね!


工場の様子

会議室でのプレゼンテーション+議論のあと、工場現場を見学しました。

どの装置がいくらぐらいで、どれぐらい利益率があるのか?
とビジネス構造をシャープすぎる質問でお聞きになる住田先生。
試作~開発~設計図面作成までのリードタイムはどれぐらいか?
と、人数を鑑みた場合の生産性を明らかにしようとする住田先生。

ぐるっと工場を回ったあとには、わさび栽培モジュールへ。

株式会社NEXTAGE様にもご協力いだだきました!


プログラム参加者全員で写真撮影。ありがとうございました!

全編を通じて、とても活発な議論がなされましたが、最後に参加者の一人からこう言ってもらえたのが印象的でした。

これまで多くのAI・IT活用の取り組みを聞いてきたが、どれも事業として成り立っていないものばかり。この組織できちんと事業的に成り立っているのは印象的だった。とっとと海外に展開して欲しい。

止まるな、イシダテック!

受け入れの話があった時には、何をどう伝えようかかなり迷って準備していましたが、都度議論が発生して参加者の興味の方向に軌道修正できるので、改めて、質問を通じて議論に貢献する大切さを学びました。

学びといえばー

LEC静岡 2024.11.7-8


皆さん、静岡のための本気経営カンファレンスーLEC静岡には参加されますか?

さくらインターネットの田中社長、株式会社エル・ティー・エスの樺島社長らをはじめ、多くの創業起業家・事業家と、膝を突き合わせて話、知恵を拝借しまくることができます。今年最も学びが得られるイベントであろうと勝手に思います。

経営者コミュニティイノベーションベースが全国にできた順に、各県で開催されて、静岡は4番めです。これを逃したらあと40年は静岡でお目にかかれません。ぜひご参加くださいませ!

申し込み時「ご紹介者名」にこっそり「イシダテック石田」と記入すると、あとから割引価格でご案内されます。

おわりに


今回もイシダテックnoteをご覧いただき、ありがとうございました!
#DXシリーズ には、弊社がまだ全社共通で1つのメールアドレスを使っていた時代を振り返りながらの奮闘記を記録しています。
どうぞ併せてご覧くださいませ!


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