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【進捗編3】「それからどうしたDX」-弊社のDX戦略進捗と課題・今後

こんにちは、イシダテック石田です。
そうそれは寒い冬の日でした。弊社がDX認定を取得したのは。2022年の12月なので、既に1年半が経過しています。

ここらで3回目のDX戦略の実施進捗についてご報告したいと思います。
なぜ報告するのか、ですって?
そういう決まりなんです・・・。

本来は、「DXの進捗報告を企業のコーポレートサイトなどの媒体で行うこと」が規程の概要ですが、DX認定事務局からは

「御社の場合は、noteのほうが目立ちそうなんで」

と言われておりまして、こちらnoteでの発信になったという裏話もあります。

提出時に不備で指摘されるほど、イシダテックコーポレートサイトよりnoteのほうが良いらしい。


「DX進捗報告」振り返り

当時は静岡県で7社目!と物珍しさに喜んでいましたが、今ではだいぶ一般的になってきました。

申請時に記述した戦略。3つの大項目があるやつ。

外向き、内向き、ひらめきの3種類に分けていた。

取得してから約4ヶ月後、進捗報告と題し、掲げた3つ戦略要素について「晴れときどき曇りである」という記事を書いたのもずいぶんと前のことのようです。


最初の【進捗編1】から6ヶ月後、こやまが【進捗編2】を記述してくれました。ここでは、「社員目線で」というナイスなタイトルともに note記事執筆するする詐欺を働いた私を救って 運用者目線の記事を綴ってくれています。

note記事執筆するする詐欺の犯行履歴が残っていた。


進捗報告は退屈と感じてきた


これは本来DX進捗報告の3本目で、【進捗編3】というタイトルなのですが、だんだん退屈に感じられてきました。
1本目の記事は(弊社にとって)大きな進歩のレポートと弊社独特の気づき、2本目は新鮮な現場目線のレポート。もうお腹いっぱいじゃないですかね。何をこれ以上進捗報告に期待するのか経産省様。

したがいまして、この記事では従前のような報告は薄めに、その代わりにそれなりにDXと呼べるものを進めてきたからこそ浮き上がってきた、組織的な課題感を共有したいと思います。

そうは言っても真面目な弊社です。一旦は戦略を振り返りましょう。対象期間は2023年11月~2024年6月の約半年です。


サービス拡充:☀

• 既存のメカニカルな食品製造/加工にかかわる装置(ハード)と、AI技術(ソフト)を融合させることで、お客様の課題解決のために提供可能なサービスの
幅を広げる。
• AIソフトウェアを自社開発することで、機動力/柔軟性を担保する。

当時の記述より

これについては、大きく3つのトピックがありました。
IPC(Industrial PC, 工業用PC)と呼ばれるものと、ロボティクス、各種電動モーター、コンベア制御をつなぎ合わせた大型ラインを納入しました。

厳密にはAIではないものの、ソフトウェアとハードウェアの新しい形での融合ということでお客様からも注目度が高いプロジェクトでした。

開発者コメント
・現在の産業用装置のコントローラとして、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)を使うことが一般的
・PLCは長く使われてきた実績やノウハウもあり、信頼性も高く、今後も使われていく
・しかし、計算を行うプログラムや複雑なプログラムが書きづらいという問題がある
・併せて、カメラの画像処理など、産業用装置でPCを使わないといけない場面が増えてきている
・そこでPLC機能をPCに取り込み、一台のPCでカメラ等の画像処理も行いつつ装置制御を行う産業用PC(IPC)の活用を推進中
・IPCにすることで制御装置のプログラムがPC向けアプリのように使用でき、ハードウェアの依存がなくなるため(※1)、プログラムの再利用性も高まる

※1 従来のPLCはメーカーごと、機種ごとに個別の考慮が必要だった
IPCは産業分野ではまだ先進的な取り組みかもしれないが、将来的には使用することが当たり前になってくると信じている


また水産分野でのデジタル技術の応用もいよいよ本格的に始まりました。

現在は、焼津漁業協同組合様と定例会を開催し、実際の取れ高や魚種判定結果と比較して、AIの精度向上を継続的に行っています。
また、このデジタル技術を応用した付加価値提供にはどのような形態があるか検討や議論を関係者と重ねています。

水産に加えて、農産物の分野でもサービス拡充に向けた事例ができました。

今後は、ここまでの取り組みから更に発展させた付加価値提供へとシフトしていきます!!ご期待ください!


業務オペレーション効率/品質の向上:☁

• デジタイゼーション(アナログデータをデジタルデータに置き換え)とデジタライゼーション(プロジェクト管理情報をシステムで一元管理)を推進する。
• 業務データの管理と結合を容易にし、ナレッジとして蓄積/活用する。

当時の記述より

基幹システムもクラウドになり、リモートワークも容易になりました。
また、(それまでできなかったのが驚きですが)同時に多くの社員が接続して、必要なデータを必要な形に加工することができるようになりました。

Google Spreadsheetを利用した「全体工程表」「見積稟議書」に至っては、ゴリゴリに進化を重ねて、もはや外販できるレベルではないかと疑うほどになりました。

15秒おきに全プロジェクトの状況を把握できるBIツールを内製し、サイネージも作りました。

「工数ダッシュボード、BIツールで内製してみた。」より


いずれもデータの共有、複製、抽出、加工そしてアクセシビリティは劇的に向上するものなので、もう快晴レベルの☀をつけたいのです。ところが、これを蓄積して活用しているかと言われると、まだまだ改善の余地ありということで☁です。(そもそも1~2年の短期でなにかなるようなものではない説もありますが)

ただ、これまでレガシーシステムであり物理的な非常にアクセスしづらかった業務データ群に、アカウントさえあれば誰でもアクセス・抽出できるようになり、次の会話が自然に生まれているのは嬉しかったです。☀にしたい。本当にスカッ晴れにしたい。

このプロジェクトの、この工程にこれだけ時間がかかっているのは確かに不自然ですね。このあとシステムに潜って分析してみます。

信じられますか・・・今まで・・・特にIT寄りじゃなかった社員がデータの海に「潜る」というメタファーを使うようになったんですぜ・・・


インサイト/サービス開発の促進:☁

• 稼働状況やお客様の製品画像群を含む取得データのリモート監視や記録、また保管と活用を通じて、インサイトを取得する。
• 取得したインサイトを利用して、お客様の製造プロセスにインパクトのあるサービスを開発/提案する。

当時の記述より

これもそれなりに☀に寄せたいのですが、やはりお客様の製造プロセスにインパクトのあるサービスを開発/提案はまだまだ☁と認識するものです、はい。今後のデジタルを利用したサービスを提供していけばこちらも副次的に伸びては行くと思います。

あまり気の利いたコメントができず悔しいので、地味ですがめちゃくちゃ役立っているサービスをご紹介します。ご購入いただいても弊社に1円も入らないノーガード紹介なので、どうぞ中立な意見としてお受け取りください。


言うなれば、産業機械界のドライブレコーダーです。

弊社のような1品1品設計が異なる受注生産の秘密兵器企業ですと、お客様にとっても初めての生産ラインになることがほとんどです。
そして食品産業。対象となる食品は形状や寸法にばらつきがあることが多く、仮に不具合や本来的でない動作が生じた場合には、その原因を特定して対策を打つことが非常に重要です。

あるお客様でこのチョコ停ウォッチャーがあることにより、とても円滑に新ライン導入から安定稼働まで推移したため、その経験をもとにつぶやいた(#21828)ところ・・・
選定着手から90分で決まった「チョコ亭ウォッチャーmini」


お客様にとってこそメリットが多く、大型の食品製造ラインを抱えている企業様ほど、装置開発部署、装置運用部署、生産受託企業・・・と役者が分かれていることがしばしば。そのため、不具合事象の原因の特定が映像などの事実ではなくヒアリング結果等伝聞でなされることも多く、工学的なアプローチが難しいことがあります。
このお客様は2つ返事でOKをいただき、その後なにかあった際の特定はとてもスムーズでした。
ありがとう、チョコ停ウォッチャーmini !!


DXをそれなりに進めてきてわかった課題感


DX認定を取得してから1年半、「それ・・・DXじゃない?」と気づいてから2年ほど。

社内メンバーを中心にDX推進の活動を進めてきたからわかった、しみじみとした課題感を共有したいと思います。社内ICT推進チームに聞きました。いただいたテキストを引用する場合には、引用囲いをつけています。


1. 短期的に費用対効果が計測できないものが多い。


DX推進に伴いPC購入などの出費も増える。
それを上回る費用対効果を出す必要がある。

・・・真面目ですね。真面目でまともでぐうの音も出ません。

確かにそうかもしれません。

そ・・・そうだよね。

ハードウェアの購入費用やソフトウェア(主に業務系のSaaS)購入費用などは、チームで比較選定することがほとんどであるため、そのコスト感は明確です。

DX推進でPCの台数が増えれば、ネットワーク環境も整備が必要になってきます。
構築から維持管理とすると、どうしても時間と金銭的コストがかかります。
(単にPCを増やすだけのコストではないということです。)

(ついでに心も痛くなります)


ところが、果たしてそれによってどれだけ業務が楽になり、そして付加価値の高い活動に費やし、売上・利益を伸ばせたか、創造性豊かになれたか、というのはタイムラグがあるため分かりづらいです。

特に弊社の場合は、業務運用の効率が上がったことを感じづらい業務プロセスである(プロジェクトによってリードタイムや収益性が異なる)ため、尚更かもしれません。
でも・・・確かに便利にはなったし、昔に戻れるかといえば戻れません。
このあたりを明確に、右肩上がりになにかが伸びているというような、その何かの指標を設定できれば、より活動に喜びややりがいが伴う気がします。


2.ITツールの習熟度によって、業務効率や社内の存在感に格差が生じる


(Redmineなど)使いこなせる人とそうでない人の格差が出てくる、定期的な勉強会開催などのバックアップが必要。

「使おうよ!」「使えないよ!」の2つの立場の歩み寄りというか底上げが必要ですね。

規程類の整備や社員へのITリテラシー教育などに対応するリソース不足が課題と感じます。DX認定取得にあたり基本方針は決めましたが、それ以降何も進捗できなかったです。

自由闊達な使い方がありますもんね。。。

「PCに少し詳しいとIT関係任されがち」というのは企業部署あるあるかなと思います。

私「内線で呼びつけるの非効率じゃない?」と言いながら、「なかなかプリンタが出てこないのよ」と、PC操作をわたなべさんに聞いたことがあるのは私です。

(特に操作者が不慣れなケースで)業務内でのデジタルツールの操作が負荷を上げているパターンもなくはない。
渡邊さん・中田さんの負荷もそうだが、社全体で見ても勤務時間の増加や稼働率低下とも少なからず関わり得る要素なので、点検や改善は繰り返さねばならなそうだし、デジタル化・効率化で空いた時間で何ができるか?も各人が考えられるようにならないといけない、とふと感じた。

進むも地獄退くも地獄感満載のフィードバックありがとうございます。


デジタルツールが逆に効率を下げていたり、直球の成果につながらなくてもデジタルツールに親和性のある人がなぜが業務上も存在感が大きくなったり。いろいろありますね。

このあたりは、習熟度別に継続的な社内フォローが必要そうです。


3.そろそろ社内IT担当専属が必要。自主性のある取り組みに負荷が増す。


PCを1台購入するにしても、業務に対して要求を満たせるスペックかをチェックしながら選定しますし、コストを下げるために影響の少ない部分から削っていったりもします。
ネットワーク環境についても構築して「ハイ終わり!」ではなく、「社内ニーズに応えながら安全で安定した稼働をする」という重さを感じながらそれ以来業務をしていく感じになります。負荷といえば負荷かなと思います。

(私は楽しいので良いです)

地獄の中に仏あり。仏の中にわたなべさんが混ざっていた。

ネットワークやサーバー維持管理、セキュリティに加え、RedmineやSalesforce、Othello等多岐に及ぶソフト類、API・GAS経由を中心とした自動化プロセスの開発、データ分析・見せ方・伝え方に関するお作法や他社員への教育…などなど知らなければならないこと/できなければならないことの要素が多い。すげえ大変だ!応募はWebサイトから!

勢いでごまかす可愛い奴もいます。応募はWEBサイトから!

イシダテックの取り組みをITの側面から支える人材に、あなたも加わりませんか?!応募はWEBサイトから!


4.ドキュメント化はまちまち。読まれるその日を待つ。


仕様書や製品説明書など業務上マストな文書は必ず書くのですが(当たり前ながら)、次の誰か、次の自分のために記録を残すという作業は、定着している人としていない人が様々です。

多分、ドキュメントに救われた経験のある方が少ないんだと思うんですよね。ドキュメント化されていることで、手戻りにならなかったり、効率的になることなんて山のようにあると思うんですけどね。

中田さんの回顧録より(聞き手:石田)

書き手の目線でいえば、ドキュメントを作るのも中々パワーが要る作業で「その時まで読まれることが無い」と気づいてしまえば、モチベーションが上がらない。
書くのがどんどん後回しになっていってしまう事が課題かなと思いました。
1とも対応しますがどうしても本業が忙しければ書く時間もなく、時間がたてばやったことが不鮮明になり書くのが億劫になってしまうのもありますね。

みんなで進もう!形式知化への道!

地道に、組織の知識を蓄積していくことは継続しなければなりませんね。


5.デジタルをサービスに適用できるとはいえ、事業化にあたり専門家は必須。


これはメンバーというより、むしろ石田の感覚です。
デジタル技術をこれまでの技術にどのように適用するのか、という点において一定の解を見つけたとしても、それを事業化する際には、ビジネスモデル、お客様(と、お客様候補)、事業パートナー、法律、知財、研究機関、そして行政を十分に考慮しなければならないなと感じているところです。

特に、これまでのハードウェアを中心とした装置と異なるところは、デジタル技術には個社の設備投資など初期投資が比較的低いことと、本来持ち合わせる特徴から、複製・拡張・拡散が容易と実感しています。
そのため、殊さらに最前線を走る法務の専門家や知財の専門家の手助け無しには進められない、とも感じています。
聞く人によっては当たり前ですが、弊社のような「DXをそれなりに進めてきた」企業にとっては再認識した次第です。


なぜ退屈なのか


しかしながら気になります。なぜDX認定の実施状況を報告することは退屈と感じてしまうのか。
ここで、「暇とは何か。人間はいつから退屈しているのだろうか」を論じる「暇と退屈の倫理学」を読み返します。

ヤーコブ・フォン・ユクスキュル[1864-1944]は、エストニア生まれの理論生物学者。ハイデルベルグ大学で動物比較生理学の研究に従事し、そのなかで「環世界 Umwelt」という概念に思い至った。

彼はこう述べる。すべての生物がその中に置かれているような単一の世界など実は存在しない。すべての生物は別々の時間と空間を生きている!

環世界論から見出される人間と動物との差異は何か?それは人間がその他の動物に比べて極めて高い環世界間移動能力をもっているということである。人間は動物に比べて、比較的王位に環世界を移動する。

一つの環世界にひたっていることができない。おそらくここに、人間が極度に退屈に悩まされる存在であることの理由がある。
國分功一郎

國分 功一郎 著「暇と退屈の倫理学」より引用。※ダッシュ記号(ー)は中略


まったくデジタル技術を活用できていなかった世界、そして少しずつデジタル技術によって身近な業務改善をしていった世界、さらにDX認定を取得してある程度組織的に1.5年ほど運用してみた世界。
時間と空間が相対的に変化する中で、DX認定制度で設定した戦略実行という決断に「とらわれ」ており、これまでは退屈ではなかった。
このとらわれた状態から別の環世界に移動する何かがあり、その結果これを「退屈」と感じていたー・・・?

そしてこう結論づけられている。


待ち構える


彼(ジル・ドュルーズ)が使った「待ち構える être aux aguets」という表現は、動物が獲物を待ち構えるという意味を持つ。動物はどこに行けば獲物が捉えやすいかを知っている。本能によって、経験によって、それを知っている。人間の場合、ここでは本能をあてにすることはできない。少しずつ学んでいくしかない。

世界には思考を強いるものや出来事が溢れている。楽しむことを学び、思考の強制を体験することで、人はそれを受け取ることができるようになる。

同著より引用

経済産業省のDX認定とは、デジタル化の日々を楽しみ、そして学び続けよということだったのか・・・。


学び続けよう、でも次の環世界は?


そうは言っても次は何にこの意識をとりさらわれればいいんですか・・・?DX認定を取得するまで、そして運用中は少なくとも1.5年は日々進歩を感じ、退屈せずにやってきました。
次は・・・?次の環世界はどんな世界なんですか・・・?


・・
・・・

用意されていた。

その名もDX Selection

ちゃんときれいにピラミッド状に。

経済産業省ウェブサイトより


よく見たら、DX認定の申請の立役者、金澤さんも格納してくれていた。

2023年11月、オーナー 金澤靖一 「DXセレクション2024応募要領.pdf」

待ち構えていたのか。
このファイルが私達を待ち構えていたのか・・・?
ファイルの環世界にいとも簡単に迷い込んだ我々。
新しい目標もできた(つつある)ので、どうやらしばらく退屈はしなさそうです。
今回もお読みいただきありがとうございました。


リンク集


デジタル化、IT化、DX化… 弊社の取り組みについては、 #DXシリーズ にてnoteでも不定期に公開しています。(こやま)

それと、社長紹介ページができました!

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