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イシダテック、基幹システム入替を検討する。

総務部のこやまです。
イシダテックにおいて販売管理・購買管理・生産管理・人事給与、さらには財務会計・管理会計などの機能を1箇所に持たせた基幹システム、通称「販売管理システム」の更新検討を開始したのは2022年1月のこと。

最終的には2度の導入延期こそ発生したものの…
2023年8月から Othello Connect を導入・稼働を開始しています。

2023年夏 全社会議資料より


本件の取り組み公開意図


ベンダーがユーザーを巻き込んできちんと整理するモチベーションがある企業が導入事例の情報発信を行う例は多くあります。
一方で弊社のような中小規模の受発注システムの入れ替えは…

ベンダー丸投げ作戦

のようにあまりいいニュースは聞かず、現場レベルで個別最適的な使い方やカスタマイズが行われる例が多いように思います。
そこで弊社の計画と現実や、泥臭い大変なところ、ベンダーとの協力体制の築き方などをシェアするのは、世の中のためになると考えています。

と石田社長が言っていました

それに加えて…
IT・デジタル・DXといった文脈の活動棚卸しや意義・目的の言語化も含めて弊社noteでは #DXシリーズ として発信を行っており、また経産省からのDX認定事業所認定取得に際しては、戦略・進捗の公開をnote公式アカウントにて実施すると定め、定期的な発信を継続しています。




システム入替検討のきっかけ

ですが、基幹システム入替にはそれなりの気合いと根性が必要です。
まずはどのような課題があり、どのようなきっかけで議論が現実味を帯びていったのかをお話しさせていただきます。

そもそも弊社で使用していた旧システムはオンプレ・スクラッチ開発の生産・販売管理システムで、稼働開始は2000年とされています。
稼働・データ保管に社内サーバーを所有、特定のクライアント端末から操作を行うもので、その「端末」の更改を検討したのが発端です。

2014年に更改したサーバー

掃除しようと思ったことはあるが勇気が出なかった。笑

あと電源入れるのにちょっとコツがいる


全体のデジタル化も進んできた結果


ここ3年程度で多くのシステム導入も進んでいる一方で、データ連携におけるボトルネックでもあり、アクセスには物理的制約も当然存在します。

個人的にはGoogleWorkspace導入によって「いつでも・どこからでも」情報にアクセスできることの便利さを知ってしまったことも大きい……


レガシーシステム化


またインボイス制度が好例ですが、法令・制度への対応も求められますし、業務そのものにも変化が起きた点は多数存在します。改修もベンダーに依頼せねば実施できず、典型的なレガシーシステム化が進んでいる状態でした。

対応しないと損する制度もたくさんあるので…




判断に向けて:まずは現状分析を詳しく

検討開始当時、抱えていた課題を振り返ってみます。
中小企業 / 製造業あるあるな要素もたくさんありますが、弊社内で存在した課題感はざっとこんなところです。


①データ利活用における課題


一部画面・機能を除き基本的にはデータを取り出すことが難しい
例えば蓄積されたデータを少し異なる切り口で見る… と考えたら、まず目視でデータ確認→データを転記して外部に作るという動作が必要になる。

仮に取り出せたとしても、USBに保存して移動することが大半でした。
せっかくインターネットから隔絶されているのに、リスク!

USBメモリで読み込めれば「まだまし」

私はモニターにものさしを当てながらデータを拾っていました、実話です。


②二重入力の発生:日報データを例に


インポートならば文字通り "秒で" 完了しますが…
この案件で / この作業内容を / 何時間行いました! という全社員のデータを一つも間違えずに転記するルーティンワークを私も抱えていました。
給与データ作成も兼ねている以上、「打ち間違い」は1件も許されません。

「機械にできることは機械で」とお客さまにご提案する弊社。
しかしその裏側はマンパワーが支えていました。

不備も修正しつつ、1日60~70行転記、月間では1500行くらい
期限がある勤怠関連の処理ゆえに、休日出勤でどうにかしてた時も


③変更への対応コストとボトルネック化


旧システムは、開発当時の業務に合わせてつくられたもの。
下記のような "変化" への対応にはカスタマイズする必要があることから、所要コストは金額・時間の双方で比較的高くなると言えます。

業務のここ変えたい!と意思決定しても、システム上でできないから… 
という判断を行うケースも存在します。ベンダーへの依頼で変更は可能であったとしても、コスト面が大きな障害になります。

例えば……
・(リモート勤務/出張時など) 社外からのデータアクセス需要の発生
・電子帳簿保存法… インボイス制度… 等法改正に基づく対応
・周辺SaaSツールの導入・入替等に伴う連携方法の変化
・社内的な業務フローやルール/運用変更

システム側の制約で非対応という判断をする場合も


④データアクセスとピンチを迎えるハード類


クライアント端末も更改が行われてきていますが、当時使用していたのは2014年製のWindows8.1の端末。ローカルネットワーク上で稼働することはセキュリティ面で安心ですが、上述のように社外からのアクセスは不可能。

クライアント端末の経年劣化による入替作業は使用台数が決して多くなく、コスト的にもリースで!的な手段も取れますが、OS側が変化している場合は一筋縄では行かないケースも存分に考えられます。

2000年当時にネットワーク非接続を決定したそう
私も机の上にPCを2台置いて業務に向かっていました
トラブルが起きることも増え…
社内にひとりはいて欲しい人、渡邊さん




入替判断へ

ざっくりとまとめると、

  • 変化への対応の困難さ

  • 運用・保守の金銭的コスト

  • 業務変革やデジタル化におけるボトルネック化

といった観点から、システム更改または入替を検討することに。
しかし下記観点を考慮すると、入替がやや優勢です。

ただし、旧システムは当然弊社の業務に合わせて作られた以上、特に会計的視点では優れている点も多かったのは紛れもない事実です。
実際に当初はクラウド化、あるいは一時的にVPN+リモートデスクトップにより対処することから検討を開始しました。
しかしいずれにせよ超大規模改修は避けられないという状況です。


そこで入替に向けて:いつもの「比較表」


弊社のシステム導入検討時に必ず出てくる比較表。
資料請求してみた!程度の単純な調査数はもっと多いものの、最終的な判断に向け候補を洗い出し、絞り込んでいきます。

製造業、中でも受注生産体制を取る弊社目線では、カスタマイズを要する箇所が存在することは想像に難くなく、ベンダーによってはそもそも静岡県がサポート対象外とされている等制約もあるのが超リアルです。

2022/10 作成
※弊社の業務や導入済システムを考慮して評価

特徴はさまざまですが、意外と差があるような、ないような…?
業種や生産体制等導入検討社次第でこの評価も大きく変わります。


システム決定へ


結果選択したのがCMAシーマ株式会社の提供する、Othello Connectオセロコネクト
中小企業では導入が難しいとされる、生産・業務管理システムをクラウドで安価に利用できるサービスとされており、

IT導入補助金2023 A類にも採択されている


と言っても、まだこの段階で決定された事項は「システム入替」のみ。
猛烈に長くなりそうな予感がするので、

  • 結構泥臭い作業もした導入者の取り組み

  • 順応した利用者へのインタビュー

  • ベンダーとの協力体制構築

  • 23年分のデータ移行

といった話を次週以降で進めていきます。
多くの企業が到達するであろう2025年の崖を前に #DXシリーズ として弊社の経験をシェアしたいと考えています。よろしくお願いします!



おわりに

そもそも弊社くらいの規模で、ここまでしっかりしたシステムを2000年から運用していたのは驚くべきことなのかもしれません。

導入フェーズに進んでいきますが、Redmineのチケットは…
・プロジェクト準備
・要件定義
・方式検討
・設計/開発
・テスト実施
・運用準備
・データ移行/並行稼働
・運用

の各ジャンルでもはや1画面で表示できないレベルの数存在しています。おたのしみに…(こやま)