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THE DAY|スタンダード?な1日編


1日が、朝始まる―。


4:30 起床―。


中原さんの1日、弊社社長・石田に負けず劣らずの早さで始まります。
コーヒーを淹れて始まる1日、濃密なものが見れそうですね。

今日の主役:中原さん
先日こやまと参加したイベントの資料より

起床時刻3:30の社長からはかつて「夜型人間」と評された中原さん。
できる人ばかりでない "ゼロイチ力” に圧倒的強みを持ち、クリエイティブに仕事に取り組んでいます。スイッチが入ったときのポテンシャルはすさまじい、とも評されていますが… どんな1日を過ごしているのでしょうか。


4:40 勉強 or 趣味


超有効活用するのは「朝」です。
この日は、3Dプリンタでヘッドホン掛けを作成。そのために弊社の業務でも使用している3DCADのSolidWorksを用いてモデルを製作します。

本人によるとSolidWorksは高専在学中に初めて使用した3DCADで、最も使いやすいと感じているそう。年16,000円で個人ライセンスを購入しています。

最近の中原さんの自宅デスク
モニター台は作れないのかな。笑(こやま)
3DCADを用いて制作したモデルの例
この装置は「すり身充填包装機」

かつて DX、進めてみた。 シリーズでも言及しましたが、弊社の業務でも用いている3DCADは読み取りも2DCADと比較すれば容易で、お客さまに対する機械・装置の説明等にも強みがある。
静構造解析機能も活用して業務側のDXも進めています。

今回の中原さんの使用ツールはこちら
Solidworks for makers、Cura、X-one2、OctoPrint(RaspberryPi 3B+) 、Softether


今回作成した3Dモデルは、スライサーソフトウェア(Cura)を使用してGコードに変換し、OctoPrintという3Dプリンターの操作をWebインターフェースから簡単に行えるオープンソースのソフトウェアに転送して印刷します。

もともと無線に対応していない3Dプリンタでも、このOctoPrintをRaspberryPIなどにインストールして3Dプリンタに接続しておくことで、WEBブラウザから印刷の開始や停止、温度や映像など印刷中のプリンタの監視を行うことができます。

こやま解説(ビギナー向け)
3Dプリンタで何かを作るには、3Dモデルがまず必要です。
中原さんはそれをSolidWorksで作成したわけですが…

3Dプリンタは3Dモデルのデータを読み込むことができません。
そこで登場するのが "Cura" というスライサーソフトウェア。
このソフトを用いることで3Dプリンタは3Dモデルを読み込むことができるようになり、取得された "Gコード" によって座標やフィラメントの吐出量を制御・印刷を実行します。

物体をぶった切ってデータを一層ずつ薄切りにした情報が
Gコードみたいなイメージです

中原さん解説(深堀り版)
もっと深堀りすると、もともとGコードは以前に紹介したNC機械の制御に使われています。NC工作機械の前にキーボードがついているのは、実行Gコードの変更や環境設定のほかにGコードの手作成や修正を行うためでもあるんです。

現在は、高度なCAMソフトウェアが普及していてCADデータからGコードに精度よく変換できますが、昔は図面を見ながら直接NC工作機械にGコードを入力していたそうです。3Dprintという新しい技術が便利に使えるようになっているだけで、結局動作させている中身は変わっていないんですよね。


そして、ひとりでにプリンタが動き出す―。

中原さんの懸念
待機状態でも発火するときはするんじゃないかと怖くて、遠隔監視と電源を落とせるようにしているんです。 もっと言うと、3Dプリンタって家電になるのか?問題もありまして。 もし火事の原因になってしまったとき、「3Dプリンタは家電でなく工作機械」とか言われると保険も出ないんです。
なのでSwitchBotが我が家を守ってくれています。


3Dプリンタは動作音が結構響くのでクローゼットに閉じ込めます。
必要なメンテナンス以外に近づきたくないので、SwitchBotプラグも併せて使い印刷までリモートで行うことができるようにしてあります。

それでも漏れ出す音。逃げるように外へ向かいます。


5:30 草むしり。


逃げ出した屋外で、早朝から草むしり。
実は最近ご結婚された中原さん。1週間毎朝1時間かけて綺麗になったここは奥様のガーデニングスペースになるそうですよ。
(何よりも、おめでとうございます!)

▶Before

鬱蒼としている
高台にあるご自宅、もともとはフェンスや外壁にも草が

▶After

なので抜いて抜いて
抜きまくった
除草剤もたくさん使ったらしい


8:00 出社後、ラジオ体操


これまで言及していませんでしたが、社長以下全社員でラジオ体操をして、イシダテックの1日は始まります。

ヴィーナスを拝みながら…


2名の社員の手によってスピーカーは常設されており、3Dプリンタに中原さんが施したのと同様ラズパイ(Raspberry Pi:シングルボードコンピュータ)SwitchBot(スマートプラグ)の制御によって毎日決まった時間に流れ始めます。

記事作成時にラジオ体操が流れる様子を撮影した動画を見ると……。
計ったように正確なぴったり具合で中原さんはやってきます。
この後さらに2つの会を経て、中原さんの1日が動き始めます。

サムネイル左側にいるのが中原さん。到着タイミングに無駄がない(笑)


8:03 朝礼


全社員(とは言っても40人)が集結しての朝礼がイシダテックの慣例です。
重要連絡事項等が伝達されるスタンダードな内容です。

なぜラジオ体操が屋外で朝礼が工場かはわからないが、
おそらくスペースが取りにくいからだと思われる

・「無駄」と感じる仕事No.1とも言われてしまう、朝礼について
40人揃うので時間的インパクトは実際のところ大きく、社員数37人当時でも年間所要時間は1,233時間と試算していました。相応の効果はあることを知っているので継続しています。

ちなみにイシダテックの場合「全員で社是唱和!」とか「だめ出し」タイプの朝礼ではないです(笑)

あと社長は社員のスピーチ聞くのが好き


8:10 事業推進室「朝会」


全体での朝礼後はそのまま部レベルに分かれます。
中原さんの所属する事業推進室では、メンバー3名でのナレッジシェアや、取り組み状況や実施成果の共有、課題解決に向けた相談等を行っています。

【アジェンダ】
前営業日実施成果の共有(各人)使用クエリ(1週間以内の更新)
当日の予定の共有(各人)使用クエリ(全チケット、未完了)
困っていることの相談、雑談(各人)

朝会の記録用Wiki

【会議運営ルール】
会議は15分以内に終了する
タスクはRedmineのチケットベースで進める
取り組むタスクのチケットがない場合には作成する
2人以上で開催できる場合には開催する(出張時などはWebでつないで実施する)
一人のみの場合には休会とする

Wiki化はじめルールびっちりですね…(こやま)


8:20 勤怠を打ち、プリンターの電源を切る


昨日分の勤怠を打っていないので、こやまが設計室を訪れ…
最近は必ず溜めないように勤怠を打つことができています。笑
そしてほぼ同時に自宅の3Dプリンタから印刷完了通知を受け取ります。
上述した発火懸念もあるので、自宅のVPNに接続し映像を確認したらプリンターの電源を遠隔で落とします。

懸念を技術で乗り越えるエンジニアの鑑。
私だったら家族に電話して電源ぶっこ抜いてもらうもの。(こやま)

なお技術で乗り越えられない工数登録


8:25 サイコロ作り


そしてこの日は、現地での作業を行う予定です。
それに向けた下準備としてサイコロを作成するのですが…
活用シーンは後ほど言及します。


9:00~14:00 現地作業

下準備を終えたら設計室を離れ焼津新港に向かいます。

焼津では単に「新港」と呼ばれますが、厳密には「焼津地区」と「新港地区」の2つがあります。サバやアジ等近海で漁獲される魚が水揚げされる小川港と合わせた総称が「焼津漁港」なのだそうですよ。

さらに市内には大井川港もあります


AIエンジニアとして、そしてデータサイエンティストとして。
通常は設計室内の自身の机で業務にあたることこそ多いものの、こういった現地でのデータ取りのような作業も自らの手で担当します。


端末類も準備を行い…
かなり長い時間流れてくる魚たち
つかれた。スキーから帰ってきたときにみたいにほほが熱い。
と2023年1月の訪問時にはコメントを残しています

かつおの「縞」と霜の付き具合の話
かつおのお腹には縞があるイメージが強いですが、生きている間は縞模様はないのだそうです。AIはそれをヒントに魚種判別をしていくわけですが…
冷凍で水揚げされる魚は霜の付き具合が季節(外気温)により変化します。
例えばこれから暑くなってきたとき、どう影響してくるかも検証内容のひとつになるそうですよ。


撮像用カメラの設定などハードの準備も自ら行うことがほとんどです。
高専というルーツだけでなく、ロボコンをはじめ培った経験も生かして。
広範囲な知識を用いてお客さまの課題解決に尽力しています。

この日収集したデータはおよそ3時間で約1,000枚分。
魚体上の傷の有無や魚種の判別、面積を基にした重量推定等を実現すべく、イシダテックに持ち帰って作業を進めることとなります。


現地での作業の様子は2023/04/19 静岡朝日テレビ とびっきり!しずおか内で取り上げられました。


15:00 帰社後、データ整理


海から「森の鍛冶屋」へ帰還


取得したデータを活用するためには地道な作業も存在します。
この日撮像した画像からかつおの魚体のみを切り抜いた大量のデータを作成していきます。想像以上に地道な作業ですが、AIとして活用されるには下準備が当然必要になることは言うまでもありません。
草むしりと同じで、目的達成・課題解決に向けた裏側、通常は見えない作業にも多くの時間がかかります。

AIが学習するためのデータを作成するだけの日々。

というチャットが中原さんから突然来たこともあります。
「データ活用する!」や「DXする!」と口で言うのは簡単ですが、こんな裏側があることはぜひ知っていただきたいポイントです。

整備したデータを用いて、表面積に応じた重量との関係性をグラフ化し、関係性の強さを探る相関分析も進めていきます。そうして検証が進むAI導入と排斥等、イシダテックが従来から強みとする技術を掛け合わせることにより「人の目」頼みにならない選別作業の実現を目指した取り組みが継続していきます。

データ加工中の様子
2024年夏頃の導入に向けて検証中


15:30 サイコロ、力を発揮


ところでこの日の朝、サイコロを作成した意味はここで発揮されます。
撮影時魚姿とともにQRコードを撮影することによって、ソフトウェアを用いてクイックに画像データのラベル付けを行うことが可能になります。
予め作成したサイコロにはこんな情報を表すQRコードを印刷していました。

  • 魚種

まぐろにもいろいろある

だるま:メバチマグロの若魚や、きめじ:キハダマグロの若魚といった通称が存在。水揚げされた魚の中には様々な種類があることからAIにもそれを学習させる必要がある。


  • 外見

ちなみに水揚げのメインであるかつおは漁獲方法で傷のつきやすさが違う。
まき網漁と1本釣りでは主に効率面で大きな差があるものの、1本釣りでは魚体がきれいだったり、鮮度がいい状態が保たれるなどの違いが存在します。

…と、小学校の授業で教わった記憶があります(こやま)


  • 重量

※これはマグロ用らしい

かつおは1尾当たりの重量を〇〇 "上"かみ と表現する。
「10上」と書かれていれば1尾10㎏オーバーのかつお、のような形式です。
10年くらい生きてようやくその重量になるらしい。


16:00~17:30 インタビューを受け、終業


この日は帰社後にもとびっきり!しずおかのインタビューを受けました。
同日持ち帰ったデータもお見せしながらAI技術について紹介するとともに、「人にしかできなかったことを機械化するための解決手段がAIで… 選別する人の負担を減らしてあげたい」といった考えも述べています。

まだこの世にないものを創り、お客さまの成長に貢献する秘密兵器をお届けする。そんな言葉を体現する社員の1日でした。

放送では残念ながらカットされてしまいましたが、中原さんのインタビューは弊社noteやしずおか仕事図鑑で参照できます。ぜひ合わせてどうぞ!


おわりに


どんな新たな発想も、知識なしには生まれません。
天才型だと捉えられがちな中原さんですが、興味を突き詰める姿や、地道な作業でもやり切る姿を見ると、努力の人であると見方が変わってきます。

何より月曜に着手したこの記事の作成はじめ、無茶ぶりにいつも快く答えてくれ、手数を惜しまず協力してくださるのも中原さんの素敵なところ。
「尖っている」タイプの方なのは否定しませんが、できた隙間は誰かが埋めてくれるはずですし、そうであるべきだと考えさせられました。
”丸くなるな、星になれ。” ですね。笑(こやま)

Text by Masahiro Nakahara
& Kazuki Koyama

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中原さんインタビューは "しずおか仕事図鑑" にも掲載されています!

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