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私は自社製品を知らない。【うずら卵計数機 編】

ふくだです。
ハロウィンが終わるや否や町は一気にクリスマスモード、今年も残すところあと2ヶ月となりました。

わたし、今すごく焦っています。
現在時刻(2024/11/01 15:23:54)
金曜日の午後です。
そして今週末、ありがたいことに三連休。
(↓こちらの記事の冒頭にもある通り、弊社の休日は社長の方針でカレンダー通りです。)

インタビューできるのは来週の火曜日、午後。
そうです!!noteを書く時間が少ない!!!!
初のタイムアタックです。


今回の記事は前回に引き続き弊社の機械紹介。
今回選んだのはこちら。

うずらの卵をひたすら数える機械。こんなの絶対面白いじゃん!

この機械、最近のものではありません。
となると、この機械に携わった人を探すところからスタート。

設計室へインタビュー依頼に行くと、ベテラン社員たちによる、「この機械はお前が作っただろ」合戦が始まってしまいました。

聞くところ、この機械は歴史が長いらしく、うずら以外にも鶏卵やツミレ(肉団子みたいな?)の計数機も似た仕組みで作っていたそう。

たくさんの社員がちょっとずつ関わっている、歴史が長い機械なのです。


お願い、、、誰か私にうずら卵計数機を教えて、、、


救世主現るー。

今回はなんと二人の方にインタビュー。


1人目。

設計部 機械設計課 山村 孔信

優しい笑顔でゴリゴリ焼津弁なのが面白い。

「この機械はお前が作っただろ」合戦メンバーでしたが、半ば強引にインタビュー依頼。勤続52年の大大大ベテランです。



2人目。

製造部 省力機械実装課 親方 増田 博史

超スマイルいただきました。

関係ないけど、、、

iPhone16を自慢。(既視感)
既視感の正体

一緒にiPhone16に変えたらしい。仲良し(笑)


山村さんには歴史と構造のお話、増田さんには製造のお話を聞いていこうと思います。

※お二人とも別の時間でインタビューさせてもらいました。


うずら卵計数機

全長:4200mm 全幅:1200mm 高さ:2500mm

ボイルして殻が剥いてある状態のうずらの卵(以下『うずら』と表記)をひたすら数えます。
どれぐらい数えるかというと、上の写真の機械は1分間で約240個。(もっとスペックが高いものだとなんと1分間で1500個!)


なかなか仕組みが想像できないと思うので、山村さんに聞いた話を元に説明します!

【全体図】

水に浮いているうずらがコンベアのポケットに入り、そのまま上に運んで容器に入れます。


入れる個数も変えることができます。

【コンベアを上から見た図】
※メクラ(盲蓋):卵を入れない部分に蓋がされている。列と列の間のゆとりを作るため。

例えばうずらの入るポケットが一列に12個だとして、2個分の蓋を閉めれば一列に10個入ることになる。すると、10の倍数の入れたい数に対応できるようになります。
蓋をうまく利用することでほぼ全ての数に対応することができます。(素数は難しいかも、、、)


Qそもそもなぜこの機械を作ることになったの?

山村:昔、うずらは全て缶詰でした。しかし缶は片付けが手間になるため時代とともに需要が減り、プラ容器包装にすることになりました。

よくスーパーで売ってるこんなやつ。

山村:そこで困った問題が発生しました。プラ容器包装は透明で中身が見えてしまうのです。

-中身が見えると困る問題とは、、、?

山村:数が数えられるということです。昔のうずらの缶詰は、入る分だけを入れていました。(ボリュームで計算)缶詰は中身が見えないのでボリュームが同じであれば多少数が違くても問題になりませんでした。しかし、中身が見えるようになると数が違うことが問題になってしまうのです。

確かに数えてしまうかも、、、。

山村:そんな背景から『うずらを数えたい』という依頼をいただいたのが、この機械の始まりです。

産声の瞬間!

Qなぜ全ての穴に綺麗に入るの?

山村:うずらが入るポケットの大きさとコンベアの角度が全てです。あと、コンベアの方にうずらを流してくれる人が重要!

こんな感じでうずらをコンベア側に流す。

Qなぜうずらを水に入れるの?

山村:うずらってデリケートなんです。白身がハリがあって割れやすい。水に入れることによってうずらへのダメージを最小限にすることができるからです。

八宝菜のうずら、徐々に力加えて白身がパカってなるの好き。

Q難しかったところは?

増田:難しかったというより手間がかかった作業は、角という角を全て削るというものです。パーツは切りっぱなしだと角が立っていて、うずらや人の手を傷つけてしまう可能性があります。そのため全ての角にアールをつけました。(※角を取り丸くすることをアールをつけると言います。)

うずらの入るポケットだけでも200個以上!
気の遠くなる作業です。

Q思い出に残っていること。

増田:結構昔のことですが、、、
とある会社に販売した機械の部品交換に行ったのですが、2日間で2台完了しなくてはならないタイムアタックのような作業で、しかも作業できるような場所がなく大雨の中軒下で作業しました。今じゃそんなことあり得ないと思いますが、いい思い出です(笑)
他にも数台別の会社に販売しているので覚えていないだけでもっとあるのかも、、、

大雨の中軒下、、、

Q一番最近ではどこに販売したの?

増田:海外です。 

弊社の機械は海外に販売されることも珍しくありません。

-うずら卵計数機も海外進出?

増田:ちょうどコロナの時かなぁ、、、
税関で放置プレイされる事件も起きましたが、無事出荷できました。

『税関放置プレイ』なかなか聞かない語呂だ。

Q嬉しかったことは?

増田:これに限らずだけど、自分が作った機械で作られた商品をスーパーとかで見ると嬉しくなります。だから、うずらのパックを見るとなんか誇らしげな気持ちになります(笑)

自分の作ったものが世に出た時ってとても嬉しい。

Qぶっちゃけ、いくら?

お客様のご希望される生産能力などに応じて設計するため、価格が変動する可能性がございますが、、、???ぐらいです。

(こちらは技術営業部の社員に聞きました。)

-なるほど、、、んー難しい。
ホ〇ダシビ〇クが2台は買えそう?

ほん〇しビッグじゃないよ!

Qこの機械こんな人に使ってほしい!

増田:うずらに限らず水に浮くものになら代用できそうですよね。
サイズが合えばフルーツとか、食べ物じゃなくてもいけそう。
下の水を消毒液とかにすれば、消毒しながら傷つけずに数を数えられる。
需要はたくさんありそうな気がしてます。

オーダーメイドだからできること。

まとめー。

弊社には歴史の長い機械が多数あります。そのうちの一つが『うずら卵計数機』。たくさんの社員が携わり何度も改良を重ねてきました。
全ての角にRをつける作業も改良の過程でやり始めたことかと思ったら、それは初号機からやっていたことのようです。
古い機械でも新しい機械でも、使う人の安全を第一に考慮したものづくりは今も昔も変わらないものです。

P.S. 値段を車でしか表現できないのどうにかしたい。

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