イシダテック、潜入してみた。
突然ですが……
あるご縁で、異業種からの企業研修を受け入れており、2日間の日程の中で、PR活動で協働いただいています。
設定した研修のゴール:noteを1本書く
日頃弊社のアカウントは社長の石田またはこやまが書いていますが、『外部の方からの視点』で記事を書いていただいたらおもしろいのでは?と思い、本当に依頼してしまいました。
はじめに:社外から見たイシダテック
焼津育ちの私は、幼い頃、イシダテックさんの近くを通る度になぜか焼津にあるヴィーナスを眺めては、美術館かな?ミロのヴィーナスを作ってるのかな?と疑問に思ったものです。
イシダテック、何をしている会社なんだろう?
大人になった今も、鉄工所だという以上の情報はよくわかっていませんでした。
・何を作ってるの?
・工場の中はどうなってるの?
・やっぱりベテランの社員さんが熟練の技で会社を支えていて、若手がいないことを憂えたりしてるの?
テレビの特集やドラマくらいでしか町工場というものに触れる機会がなかった身では、それくらいの想像が限界です。実際はどうなのか?こんな機会でもなければ入ることのない現場に、いざ突入です!
業務について
最初は、担当の小山さんから、イシダテックの創業期から現在までについて丁寧に説明していただきました。創業者の数々の画期的な発明、現社長のバイタリティあふれる感じ。
特に、水揚げしたカツオの個体を識別するシステムの開発については、ニュースで見たことがあるので、「あれを作ってる会社なのか!」と感動が。しかし、理解に苦労する内容もありました。
混乱しつつ話をうかがっていくと、食品や医療に関する工場での仕事が効率化されるような機械を作っているようです。イシダテックさんが得意としていることも多岐に渡り、いろいろな機械を作っているため、「うちはこれを作ってます!」と手っ取り早く伝えるのが難しいんだとか。いろいろ手広くやっているイメージをぼんやり持ったところで、いざ工場見学です。
奥行きのある建物に入ると、いろいろなものが置かれていました。物はたくさんあるけれど、整理されているので、ごちゃごちゃしている印象はありません。
横の方には、ねじが規格ごとに整理され、収められていました。種類も豊富です。いくつかのねじを見ながら、ねじとボルトとナットとワッシャーの違いがわからないことに気づきました。一般の方は知っているものなのでしょうか。
何かを作っているが、何に使われるんだろう?
足を進めていくと、作業をするための機械がたくさんありました。何をするのか想像できそうなものもありましたが、大半は謎の機械です。工場内でお仕事をされている社員さんは、予想よりも少なく、しかも皆さんそれぞれ違う作業に取り組んでいました。
謎作業中のふたりを発見
興味深かったのが、コンベアに何度も商品を流しているお二人。
なんでも、装置についてお客様から上がった声に応えるべく、処理方法を考え、試している最中だったようです。
この方法で良さそうなら、お客様への提案につなげるし、最終的に他の案を提案するかもしれないとのこと。
ここでやっと、最初の会社説明にあった「お客様の『こんなのあったらいいな』を創っていく」が具体的なイメージとして見えてきた気がしました。仕事をしていて、「こんなふうにできたらいいのにな」「こうなったらもっとスムーズに仕事が進むのにな」といった機械に関する悩みの解決にイシダテックさんが助力してくれるんですね。
悩みなんて人や会社それぞれなのに、対応してくれるなんて、なんてありがたい……!(すごく労力はかかりそうです。)現場ではこうやって試行錯誤しながらニーズに応えてくれるんだなと感動しました。
ああ、みんなプロなんだなあ。
機械を使っている人、溶接している人、部品を作ってる人、皆さんとても手慣れた感じで仕事をしていらっしゃいました。金属に穴を空けたものを見ると、印の位置ぴったりに穴が空いています。こちらで働いていらっしゃる方にとっては当然のことだと思うのですが、中学時代に技術の授業で、はんだづけに失敗し、完成したオルゴールが鳴らなかった思い出がある私としては、正確に・綺麗にできること自体がもう驚きです。
そこら中にある年代物の機械たち
現代的な機械もありますが、工場の隅には見るからに年代物の機械たちが置かれています。昭和っぽいノスタルジーを感じながら、レトロな博物館に来たような気持ちに。こういう空間、好きな人はものすごく好きなのでは。
設計部にもお邪魔させていただくと、こちらでもお客様から上がった要望に、どうしたら応えられるか考えている方がいらっしゃいました。ちらっと聞いたところ、現在人がやっている作業に機械(システム)を取り入れて効率化したい、というような内容でした。これも「お客様の『こんなのあったらいいな』を創っていく」ですね。
焼津駅に、イシダテックの看板が帰ってくる。
なんと、イシダテックさんは、今度焼津駅に看板を出すことになったようです。焼津駅とイシダテックさんといえば、昔、駅の北口線路サイドに看板があった思い出があります。幼少期、家族と静岡にお出かけをするということで、うきうきしている時、看板に描かれたミロのヴィーナス(写真?)を指さして「あれ何?」と会話した記憶があります。あれから数十年の年月を経て、再び焼津駅に看板を出すなんて。お帰りなさい!イシダテックさん!(まだ早い)
今回は、焼津駅南口に降りる階段の上の方に看板が出ます。
現在決まっているのは、ここまで。午後の3時からデザイナーさんとの打ち合わせがあるのですが、その前にどんな看板にするかちょっと考えたいということで、デザインについて考える時間となりました。
最近の看板は縦長が多いですが、今回は横長。何もない状態では全然浮かばないので、インターネットで既存の看板を参考にしながら考えていきます。(「ミロのヴィーナスでいいんじゃないですか?」とは、流石に前回の看板とかぶるので言えませんでした。)
重要なのは、言葉かも。
言葉が結構重要かもしれない、ということで、ヒントを求めて途中からイシダテックさんのホームページを開きます。すると、素敵なキャッチフレーズがどんどん目に入ってきました。
・お客様のためだけの“秘密兵器”をつくるために。
・100人のお客様がいたら、100種の生産システムがある
・創るのは「まだこの世にないもの」
・活躍できる場所は、焼津にあるかもしれない―。
など。
どんな言葉がいいか、見た人がどんな印象を受けそうか、意見を出しながら、検討していきます。短い言葉で伝えることの難しさを実感している内に、デザイナーさんとのオンラインミーティング時間になりました。
デザイナーさんは、なんと現役大学生の方でした。(イシダテックさんの従業員さんも想像より若い人が多い印象でした。未来を感じますね。)
目的や検討事項など
まず、最初に小山さんが日程確認や目的についてお話しします。
今回焼津駅に看板を出す目的は大きく2つ!
★認知形成 / 焼津にイシダテックって会社があるんだなあ
★単純接触効果 / 何度も見ているうちに頭の片隅にイシダテック
この後、事前に検討した言葉をデザイナーさんに見てもらい、2つの候補に絞りました。
あくまで方向性なので、言葉は変わるかもしれません。ここからは、コンセプトを大事にしながら、デザイナーさんが創ってくれるようです。
デザイナーさんのお話を聞きながら、すごいなあと思ったことは、専門的な視点から、どんどん意見が出てくるところです。
広告を出す場所の写真を見て、「これなら水色が映えそうですね。薄めのグリーンも。」と良さそうな色をサラッと言ったり。話をしながら好みを把握して、デザインの方向性を具体的にしていったり。
見学・体験を振り返って
一日の見学・体験で触れたのはほんの一部ですが、昔からある会社だけれど、結構新しいことをしているのがイシダテックさんなんだ、という印象をもちました。
数年前、AI技術の発展により、将来なくなる仕事があることが話題になりました。(2013 オックスフォード大学)そこでは、人に代わって機械が働ける職業はなくなる可能性が高いものとして紹介されていました。
肝心の機械を作る仕事ってどうなんだろう?と思っていたのですが、機械やシステムを開発すること、お客様のニーズに応える「まだこの世にないもの」を創るのは、やはり人間でなければ難しいだろうと感じました。時代とともに変化・成長していく姿勢はどの職種にも求められているものですね。
難しいことも考えましたが、普段他職種をのぞける機会なんてなかなかありません。知らなかったことに触れるのは楽しかったし、少し自分の視野が広がったような気がします。
イシダテックさん、ありがとうございました。