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イシダテック、基幹システム導入を終えて。[ユーザーインタビュー]

総務部のこやまです。
2週にわたって基幹システム入替に関する振り返り投稿を行ってきました。
3週目は、「実際どうだったのか」をユーザー側に聞いてみる回です。

・更改にあたって不安だったことは?
・どんなことが改善された?
・(スクラッチからの移行で) どんなことがかえって大変になった?
・これからどうしていきたい?

といった観点で、特に利用頻度が高い社員へ聴取を行いました。






システム更新前に不安だったことは?
+サポート体制はどうでしたか?


  • 再学習コストへの不安は存在

(入社後10か月でシステム切替になったあるユーザーの場合)
ようやく慣れてきたのに… という思いは正直ありました。
わからないことも当然ありましたが、導入を担当した金澤さんに聞いたり、CMA社へお問い合わせフォーム経由で連絡することで解消しています。

システム内のフォームが活用されていた(ちょっと意外だった)
プログラム更新等の対応を取ってくれる


  • 解消のための導入トレーニング・マニュアル化

ベンダー企業によるユーザートレーニング(4回・合計約11時間)、来社・対面による操作説明や質問回答ほか(1.5日)を経て稼働開始へ。

マニュアルはRedmineに担当者が随時作成を行っており、上述したユーザートレーニングの動画アーカイブが参照可能になっています。

各担当者により内容拡充中
各ページ内に詳細が記載されている
(こうやって見るとパワー型なGASだな…)

動画は回に応じて言及している内容が違うものの、チャプターみたいなものを付けたらいいかもしれない…


改善されたこと


  • 見積作成オペレーション簡略化 / クレーム回避

Othello Connectでは押印済帳票が出力される。
旧システムでは、入力→紙面出力→総務部長チェック・押印を行っていた。
不在や来客等で対応できない場合、営業担当への返却に時間を要する時も。

紙媒体を出力・押印後はスキャナでデータ作成を行ってもいたが、受渡作業全体が簡略化されることに。お客さまをお待たせする時間は減少しました。

これまでは押印が物理的に対応できない場合
ボトルネックになる場合もあった


  • コスト削減

生産性等は定量的に算出するのは困難ですが、主に下記観点でコストが削減されたと考えられます。

・ハード削減による維持・管理費用の減少
・転記作業減少、1端末複数画面作業による生産性向上
・帳票印刷枚数減少による直接経費削減

現在工場内で廃棄に向けた作業中
(富士通製PCがクライアント端末)

インパクト的に最も大きいのは、サーバー・補助電源・クライアント端末の不要化と思われる。(サーバー更改は2,000千円程度要する試算だった)

・クライアント端末を置かなくなって机が広くなった
・誰の手も届くところにあるサーバーへの不安が解消された
・場所や距離による制約を受けないこと
なども当然挙げられています。


逆にめんどくさくなったこと


  • UI・データ活用時:列数の多さ(複数担当者)

入力可能項目と出力列数が多いことから、各担当者で参照・積算時等に工夫をしていることがわかりました。加えて件数が多すぎると呼び出しが困難になるものの、クラウドであることを理解して割り切って利用しています。

・不要列は幅を狭めておく(営業推進担当者)
・出力したExcelはまず不要列を非表示に(営業担当者)
・マウスに横スクロール機能を付与(総務部 こやま)

など、それぞれに対策を行っていました。運用カバースタイル。

①照会画面の入力可能項目はやや多め
②つまり、出力画面も列数多め


  • 帳票出力:文字フォントがやや小さめ

ブラウザ上での参照時も文字サイズがやや控えめと感じている人が複数。
pdf出力時の文字サイズも同様で、担当者やお客さまが見にくさを感じていないか懸念している、という声も。
帳票カスタマイズは要継続検討事項とされています。

項数を多くする都合上仕方ない部分もある
ちなみにフォント調べたら2種類あった


  • 投入データの管理(こやま)

勤怠システム連携はインポート化によって打ち込み工数自体は減った一方、API連携ではない以上は断面でデータ投入を行うことになるので、

  • 各社員による投入済データの更新

  • インポート時点での未入力日報の把握 / 管理

といった状態を把握するための管理工数は相応に増えてしましました。
「データの即時性」は高めていきたいですが、入力者側に自分の打った日報データのつながり・意味合いを理解していただくことが必要とも思えるので、もう少し時間を要しそうな印象です。

TeamSpirit上では即時参照可能
Pfをまたいでの即時性はまだまだ


これから


  • 担当者の記憶頼みからの脱却を目指したい(総務部)

営業推進担当者:
見積時注記事項をお客さまごとに記憶に合わせてカスタマイズしている

総務部こやま:
仕入支払時、脳内の取引条件に合わせて帳票修正→IBデータへ

といった旧システム使用時から続く属人的業務(担当者の脳内頼みの作業)は未解消のものが残っています。入力負荷と天秤ですが、可能な限り解消したいと各担当者も考えています。


  • 競争優位構築のために
    適正な予算設定とスピードアップ、実績管理(営業・設計担当)

受注生産体制の弊社は、見積作成データソースに「過去の実績原価」を使用するケースが非常に多く存在します。

実績原価を調べやすくなった点はOthello Connect導入のメリット。
付番方式他管理方法を体系化するのが先であるものの、過去の類似製作部品等を図面検索可能な仕組みを構築できたら「見積精度・見積速度」を格段に向上できる可能性が高いと捉えています。

右下の図番をシステムへ→図番から呼び出せたら理想

AI類似図面検索は製造業のトレンドですよね。
運用面の工夫で実現は難しくなさそうな… 気がしないでもない。
新たにこんなことできないだろうか、とユーザー起点でも考えてもらうことはこれから間違いなく必要になってきます。(こやま)


実績管理(営業・設計担当)

原価グラフを利用して、稼働中の案件にかかる工数を確認するように。
原価明細を一括出力・積算し、お客さまへの経過報告に使用するという営業担当者も。以前は「できないから」で諦めていたことが「できる」に変わり課単位等でも新たな取り組みを進めていることがわかりました。

社内会議で用いられる原価経過の参照帳票は、同一Pf内に情報が集約されたことから、GASおよびスクレイピング(C#による)にて作成が自動化設定されています。

①それ以前
資材・生産管理部長が全て基幹システムから抜粋、手計算で積算・資料化

②ある程度の簡略化後
予算データ→こやまが都度投入・リスト化
工数データ→TeamSpiritからAPI呼び出し・案件ごとに自動積算
原価データ→資材担当が手入力(旧基幹システムと二重入力)

写せないものがたくさんあるんですが…
設計課では週に1度課会を開催・この場で工数確認も


  • 切り口設定の難しさと分析前処理(営業担当・こやま)

「~したい」が浮かんでも、やり方がわからない!という新たな悩み。

そして受注生産という背景上一律でのデータ分析で見えるものは限定的。
木を見て森を見ず… の「逆」で、森(全体)を見て木(個別の案件)を見ず… にも陥りかねず、これまでKKD(経験・勘・度胸)で走ってきた部分もあります。

なのでまだまだデータドリブン的でないのは事実。
DX-ReadyからDXへ、がこれからの課題になりそうです。

前処理って大変だなと思いました
例えば受注データを出力すると、A~DZ列まで、つまり130列出てくる。
なのでまずは各列の定義を理解して、計算できる形に処理せねばならない。
作成者・閲覧者それぞれの理解度もそうだし、アクションに移すにあたってのモチベーションマネジメントまで全社で取り組む必要があるはず。

空の列もありますが、結構横長です


最後にベンダー:CMA株式会社様から


ユーザーコメントの対極として…
CMA株式会社 代表取締役 鷲見 哲雄さまよりコメントをいただきました。

今回採用頂いたオセロコネクトの開発元になります。
基幹・業務系のシステム導入は影響範囲が複数部署にまたがり、かつ業務との整合性を取る必要がある為、「納品して終わり」では無く伴走型で、使用者の意向・課題を十分にくみ取って導入していく必要があります。

中小規模の企業様は情報システム部門など、管理部が充分でない事も多く、十分なヒアリングが出来ないまま導入する事も多くあります。
その中でもイシダテック様は社内教育・調整・データの検収を積極的に行って頂き大きな積み残しも無く稼働に至る事が出来たと感じています。



おわりに

Fit to Standard的に割り切った部分もあれば、カスタムを行った箇所もあったのが事実です。鷲見さんのコメントにあったように管理部門が専属であるわけではないものの、ベンダー・導入担当者・ユーザー間でコミュニケーションを行いながら2023年8月からの稼働がスタートしました。

4か月の稼働期間ではまだ評価できない部分も多い一方で、ユーザーからの声は継続的に拾いつつプロセス見直し・システム構築を半永久的に継続し、「地道な試行錯誤」を続けていきたいですね。(こやま)

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