石田社長、語ってください!強みを次世代に残すためにGoogle Spreadsheetが役立った話
こやまです。
先週は、弊社にてGoogle Workspaceの承認機能によって承認ワークフローを作成した話を記事にしました。
見積稟議のGoogle Spreadsheet化
これによってお伝えしたかったこと。正確には、
見積稟議書をGoogle Spreadsheet化したら、事業のコアとなる強みが段階的に引き継がれていって、そして承認機能の登場によりシームレス&タイムリーにお客様にご提案することが可能になったよね、という話。
無事、Google Spreadsheetのテクニカルな話にしていただいて、安定のこやま文書の読みやすさで感心しております。
今回の記事は、対象の方々がもはや、お届けしたい方々 * とは別になってしまうかもしれません。
家族継承しか認めん!スタンスで数十年ぶりにトップが交代しそうな中小企業の引継手
マイクロM&Aをしたら、想像通りまたは想像以上に業務がアナログで何から手を付けていいかわからない中小企業経営者
そして
めちゃくちゃ強みがある会社とはわかってはいるものの、その強みが持続する可能性がこのままではとても低いことに気づいてしまい、一念発起して継承しようと思ったのに何から始めて良いか皆目検討がつかず、勢い移住してきた手前すぐに諦めるわけにもいかず、業務の忙しさより精神的な追い込まれ具合で睡眠時間が最近やや短めな方
を対象としている読み物であることをお許し願いたいです。
肌感覚で感じた20数名人規模の老舗企業にありがちな状態
石田が経験した、というか肌感覚で感じた20数名人規模の老舗企業にありがちな状態。
メインの事業を回す体力やメンバーはそこそこおり、勤続年数が長い従業員も多い。基本的には業務に真面目なスタンスで、マインドはとても善良。
お客様のために!地域のために!実は構造的になにか課題があると認識しつつも、気合と根性、熱いハートと長めの労働時間でカバー。
昨日なんとかなったんだから、今日も何とかなるに違いない。
できる社員ができるようにやるんだよ。高度成長期よもう一度。
できて経験がある兄貴分がそう言うんだから、多少不満はあるけど今は黙っておこう、表現するのも面倒だし。
製造業。とりわけ弊社のようにお客様の千差万別のご要望と、百花繚乱の導入現場に合わせた工事を行うような業態は、製造組立チームがとにかく経験豊か。よほどのことがない限り、現場でなんとかしてくれちゃうし、よほどのことがあっても黙って解決して帰ってきてしまう。
地方老舗向けのセミナーや多世代向けの勉強会なんかにも1,2回でたことがあるが、エッセンスは「今、やっている事業をまずはやり続けなさい」。
イノベーションが大切だ、変革が正義だ、スタートアップだ、この国の産業は危機だ!という言葉を嫌というほど浴びせられていますが、最前線はこれですよ。
「やり続けなさい」
ただし、この言葉はよくよく考えるとこういう解釈もできます。
とにかく、強みを磨き続けないといけません。
これは多分大事だ。(あたりまえだ)
弊社の強み
さて、弊社の強みといえば「製品製造(主に食品)にかかわるお客様の言葉にならないようなイメージを具現化して、生産現場の方法の抜本的な変更・省力化・省人化などを実現する自動化装置を実装することで、プロセス・イノベーションに寄与できる」ことです。
ここでいちばん重要なのは、思うだけでも言うだけでもなく、「実装する」ことと思っています。
実装するとは、品質・納期・コスト&コスト&コストの制約のなかで、やりたい目的を達成する手段を現実世界に導入する、ということと同義と思っていますが、ここに危機感を覚えていたのです。
再掲:「よく知っているひと、だいたいおじいちゃん」問題
弊社の強みの源泉のうち、大きな1つである「多種多様な技術的問題解決の知識・ 知見」。
その大半が属人化しており、かつ該当者は高齢化している。
この資料はナレッジマネジメントにやや焦点を当てていますが、ことさら実装というと次のような事象が発生していました。弊社の引き合いから受注までのプロセスを(わりと内部的なところまで)つまびらかにすると次のようになります。
遡って2016年7月
2016年7月の資料より。
スーツ真ん中の人が1人4役やっていて、スーツ姿右の人は1人2役やっています。そしてこの2人が居ないと「実装」できません。
当時はなんとなく見たもの聞いたもの考えたことをアウトプットした資料ですが、弊社痺れる状況でしたね。
このお二人は、課題のヒアリングから対応方針までやって、構想図面(だいたいこうすればいけるんじゃない?の図面。概ねこの構想に沿った機械装置になります)が機械設計部から出来上がってきたところで、積算と集計、そして見積書を作成します。
だったら、兼務をできるだけ避ければいいじゃない。
ということで、理想形を作りました。
これなら営業機能と設計機能が切り離されていいじゃない!めでたしめでたし!
とはならず、現状→あるべき姿への移行こそが本当の始まりだったのです。
や る し か な い !
や ら せ て く だ さ い !
こ の 1 0 年 で !
移行期間(想定10年)には、構想設計を設計担当が行い、このアウトプットである構想図面を使用しながら、主要部分のコストの集計と見積書作成を営業担当が行う、というものでした。
どのような機械になるか知らないと、コスト集計すらできない。
コストの集計はとてもとても厄介です。
なぜなら構想設計を行った方のみ、この装置がどのような頑丈さで、どのような水準の部品を使い、どうやって組み立てられるべきか、のイメージを持っているからです。
構想していない営業担当者は、いくらこれまでの装置に詳しくてもなかなか「今回の」装置がどのようなものかは把握するのが困難です。
簡単な装置だと思って見積もったら、製作予算大幅OVERしてるんだけど!問題が多々ありました。お客様におかれましては大変お買い得品だったことと拝察申し上げ候。
レジェンド社員は、こうこうこう考えれば簡単に見積もりできらあ!!と言うのですが(本当はもう少し丁寧な口調で)、そうでない社員(大半)は「それってあなたの感想ですよね」状態です。
では、設計者がコスト集計をすればよいだけのこと!
・・・だけのこと!
と思ってました。実際やってみるまでは。
「最新版4案-B_修正済」の競合ファイルがあります。
装置を設計した人がコスト集計といっても、設計者は機械構想担当、機械構想の詳細化担当、電気設計担当、ソフトウェア担当、その他(運搬、鳶さん手配、など)、担当が分かれています。
そのため、担当を割り振ってコストを積算したあとに、それを集計する作業が必要になってきます。
ファイルサーバーで、(当時は)多人数で同時編集ができないExcelファイルを各担当が別々に更新し続ける作業を意味します。
営業担当「・・・」
救世主(候補)はGoogle Spreadsheet
これらは冗談のようで現場で日々起こっていたことでした。
コスト積算担当は、多部署にわたるため、自由闊達なファイルバージョン管理と命名規則で活動し、悪気はないけど悪意あるファイルが積み上がってしまいます。
本来であれば、積算されたコストと装置の価値を考慮して、お客様に対してどのような導入のご提案ができるかを十分に考えて、お客様との対話に臨むのが営業機能のうち1つです。
このままでは、十分に価値が錬成されないままご提案することになってしまいます。
そこで、Google Spreadsheetを用いた担当者コスト積算~見積稟議書(見積もり稟議書が承認された内容が見積書となり、別に発行される見積書がお客様に提出される情報です)作成~承認までをやってしまおう、というのが前回ご紹介した内容でした。
伝わったかわからない言いたかったこと
比較的長く続く事業を、これからも続けようと思ったら強みを磨き続けることが重要ということでした。そしてそれはそういうことなんだと思います。
ところが、人間系に依存する強みは、組織の年齢に応じて適切に業務のフローやプロセスに潜む構造的な課題を認識し、なんとかあるべき姿をに近づけようとする必要があることが多い、と思っています。
そしてそれは、川の水質改善ように、食品工場のライン改善ように、上流に近いところ(業務が始まるスタート地点)から徐々に着手していく必要が本来的だと感じています。
それが、必ずしも得意なところでなくても・・・実際石田は営業や機械設計のことなど少しも詳しくありませんでしたが、良き社員の皆様が優しく教えてもらい、触ればいいボタンやレバーぐらいはわかる感じにはなりました。
さらに、こうしよう、という具体的なあるべき姿を見つけたら、「10年かかる」と言われようが思い立ったら吉日、とにかく始めること続けることが大切だと思っています。2016年あのとき初めていなかったら今はありませんでした。
そして最後に、適切なツールを運用ルールをそれなりに決めて、丁寧に展開することが大切と感じています。特に、使い方がわからない、ちょっと不安、というところがあるだけで、意外と(あるべき姿と便利さが伝わっていれば)皆さん使用してくださいます。
おわりに