石田社長、語ってください!プロセス・イノベーション [考え方編]
イシダテック総務部の小山です。
前回は社員インタビュー第1弾として、
NHK高専ロボコン大会で優勝……、
ではなく「大賞」を受賞した若きエンジニア、中原さんに迫りました。
第5回目となる今回は、
社長インタビューで話題に上がった、
「プロセス・イノベーション」
を弊社代表の石田尚が語るスタイルで掘り下げていきます。
ぜひ最後までお付き合いください!
そもそも、プロセス・イノベーションとは
社長インタビュー[前編]では省略して、このようにお伝えしていました。
プロセス・イノベーション自体は一般的な概念であるため、弊社がなぜこの言葉を使用しているか、詳しくご紹介したいと思います。
なぜプロセス・イノベーションを?
私は、2015年に中途入社という形でイシダテックに入社しました。
当時、転職前の職のコンサルティングプロジェクトで、お客様の会社のミッション・ビジョン・バリューなどを策定するお手伝いをしていたことがあり、入社前からイシダテックの存在意義をなんとか自分が理解できる言葉にしようと考えていました。
まずは私自身が理解できる言葉にしないと、お客様や協力会社、社員に対して言っていることが嘘になりそうで気持ち悪かったのです。
そんな中、弊社の資料を読み漁っていたとき、遡ること約25年前の会社紹介資料に次のような言葉がありました。
プロセス・イノベーション
……なんかカッコいい。
資料はこう続きます。
……なるほど。
……そうかもしれませんね。
そこで注目されているのが、
生産システムの革新ー「プロセス・イノベーション」という新発想です。
なんですって!企業の競争優位性につながる、新しい考え方!
これの実現をお手伝いするのがうちなのか!
……そのあと、すぐに思いました。
本当か?
そもそも資料が古すぎるし、わかったようなわからないような感じがする。
なんかプロセスが下から上に3D的に描かれているし、資料の最後になんかよくわからないロボットがいるし、本当か?と。
紐解くために、過去の資料をさらに遡った
「移送空間と時間の最大限利用。」
あるモノを移動させているうちに、本来その前後にあったプロセスが終わってたら、時間的にも場所的にも嬉しいでしょ。
それを一緒に考えて進めるのがうちですよ。
すでに決まった工程を、がらりと変えて、限りある資源(空間や時間やヒト)をもっと有効に活用しましょうよ。そのお手伝いをしますよ、発想力で。
これだ!うちが目指してきたプロセス・イノベーションこれだ!
だいぶ噛み砕いた言葉ですが、理解が進んできました。
…ですがそれでも、
ではこれからも目指すべきなのでしょうか?
世の中的に求められているのでしょうか?
新しいものを目指したり、掲げたりしたほうがよいのではないでしょうか?
そういった疑問は尽きませんでした。
なぜプロセス・イノベーションか、改めて考える
なんとなく「イシダテックがやってきたことと、得意なこと」らしい点はわかりましたが、世の中に求められていないことには、プロセス・イノベーションを推進する意味はありません。この点を明らかにして、必要であれば再定義したいと思います、
よくわからないものは、まずは定義から確認します。
「プロセス・イノベーション 何」…っと。
世の中的には、プロセス・イノベーションってなんでしょうか。
この点は、イノベーションの実務的な定義を提供している、OECD(経済協力開発機構)のOslo Manualにこのあたりの定義が明示されています。
私が当時、参照した版では、項目3.3 の24で次のように定義されています。
このあとOECDでも議論が重ねられ、今は2018年度版が最新のようです。
念のため、こちらも参照しました。項目3.34にて定義されておりますが、時を経て少し構造が変わっています。
主に、ITをベースとした革新(innovation)が当たり前になってきたため、次のような考え方に変わってきています。(項目1.5および1.9)
技術的要素があってもなくても、全て事業プロセス・イノベーション(business process innovation)という言葉に統合されています。
マーケティング分野のイノベーションもこの定義に含まれるようです。
さて、この定義においては、プロダクト・イノベーションの対をなすものは、「事業プロセス・イノベーション」となっており、
と定義されています。より包括的になったイメージですね。
どちらの場合も、「これまでと異なる」「改善されている」「プロセス」であることが要件のように読めるため、弊社の目指すところはこのままで良さそうです。
OK。で、プロセス・イノベーションって本当にいいものなのか?という疑問は、複数の研究論文(ハーバード大のThomas H. Davenpor氏著, ”Process Innovation‐Reengineering Work through Information Technology”や、ライプニッツヨーロッパ経済研究センターのBettina Peters氏著の ”Innovation and Firm Performance – An Empirical Investigation for German Firms”)を参照すると、
という研究結果が報告されています。
…ですが、
本当か?本当に必要とされているのか?凄そう感があっても必要とされていないモノを多々見てきました。例えば金色の目が光るロボット。
では、どのように必要とされているのでしょうか?
文部科学省が2015年に発表した調査結果があり、私なりにまとめたものがあります。
これは日本全国のさまざまな業種・規模の企業に、
「ねえねえ、オンシャ!プロセス・イノベーションしてる?」
という、割とストレート気味の質問を投げかける調査を、1999年から2011年にかけて3回にわたり行い、その結果をまとめたものです。
これによると、
「製造業においては約7割が、なにか製造プロセスをガラリと変えるような取り組みをしたいけれども、できていない」
というように読むこともできます。
ではどのような阻害要因があるのかということも、調査の中では表現されています。同じく、まとめてみました。
い、色々……。
調査結果にはかなりしみじみ感もあり、弊社でも色々経験しているものがあります。例えば、お客様の現場の声だと・・・
などなど、それぞれ発言されている方の顔が浮かびます……。
ここまでで、プロセス・イノベーションとはだいたいどんな考え方で、実際に導入すると良さそうなもので、どのように必要とされているかが見えてきました。
嬉しい誤算で、古文書(昔の弊社紹介資料)の方針をそのまま継続できそうだということもわかりました。しかしながら、Osloマニュアルの最新版にあった通り、必ずしも技術的な要素を含まなくても、顧客体験を大幅に改善することも同列に検討していく必要があることもわかってきました。
それで、実際どうなのか?
さてプロセス・イノベーションを実行していきましょう!
という次のステップですが、「プロセス・イノベーションを実現していきます!」と標榜している手前、どのように実行されることが多いのか、3種類に分けて考察していきたいと思います。
ここからは、どちらかというと、弊社の勘と経験が織り込まれているので、参照文献の詳細内容とは整合しない点など出てくるかと思いますが……。
長くなってきたので、この続きは次回にしましょうか!
小山:はい。ホワイトボードが恒例のもう読めないフェーズですし。
しかし弊社にはプロセス・イノベーションという考え方が古くからあり、
「秘密兵器」製造ともマッチする考え方なのだとわかった気がします。
石田:あのさ、記事書けそう?
小山:…たぶん。次回予告をお願いします!
石田:はい(笑)
次回はより皆さんに伝わりやすいよう、
プロセス・イノベーションをどのような制約の下でどのように実行しているか、公開可能な装置の実績も交えてご紹介したいと思います。
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